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2010年 冬号(第23号)…高知県の日本臨床皮膚科医会の市民講座の講師をしました
撮影:岡村理栄子
2010年 冬号(第23号)…高知県の日本臨床皮膚科医会の市民講座の講師をしました
高知県の日本臨床皮膚科医会の市民講座の講師をしました
院長 岡村理栄子

寒い日が続いていますが、少しずつ春が近づいています。暖かい春になると、いやなことはただ1つだけ、杉の花粉が飛ぶことです。しかし、本年は寒い冬などのお陰で、驚くほど飛散数が少ないとのこと。喜ばしいことです。

しかし、例年は、当院にも杉花粉による皮膚炎の方が多く来院されます。杉の花粉による皮膚の障害は、以前は「鼻水がたくさん出て、鼻の下がかぶれる」などのみでしたが、現在は、同じ免疫グロブリンIgEを使うためにアトピー性皮膚炎が悪化したり、皮膚に付いた杉の花粉自体でかぶれたりすることが分かってきました。それを「スギ花粉皮膚炎」と言います。花粉が多く飛んだ日やその少し後に、眼の周りや頬などの少し高いところの皮膚が赤くなったり、かゆくなったりしたら、鼻水や眼のかゆみなどの典型的な症状がなくても花粉症も考えなくてはなりません。

また、残念なことに昨年は大丈夫だからと言って今年も大丈夫とは限りません。1人1人のアレルギーの許容量は決まっているといわれ、よくコップに例えられています。つまり、小さなコップの人は杉花粉を吸い始めて5年程で水が溢れ出てしまい(許容量を超えると)、それ以降毎年アレルギーが起こります。大きいコップの人は何年たっても大丈夫なのです。しかし、入れる水が少なければ水が溢れることが少なくなるので、なるべく花粉は吸わないほうが良いと考えます。その為には、花粉状況をよく見て、多い日は帽子、めがね、マスクを使い、家に入る時は衣服を充分払いふるって入り、直ちに顔を洗うようにしましょう。杉花粉の飛散数が少ない今年も、気をつけてコップから溢れぬようにしましょう。

さて、多くの杉は終戦直後に植えられたので約30年前から成熟して花粉を飛ばすようになり、今の50歳代以上の人は吸った期間が同じ期間だったために、全年齢で一斉に発病してしまいました。その為に、一時は中年の病気とまで言われていました。

そんな私たちと違い、今の子ども連は生まれたときから杉花粉が飛んでいて、幼い子どもでも、すぐに許容量を超えてしまい発病することがあります。お子さんの鼻が「ぐじゅぐじゅ」したり、顔が赤くなったりしたら、その日の花粉情報を見てください。度々症状の悪化と重なるようなら疑わしいと考え、血液検査などで確定しましょう。花粉症の子ども達は学校での体育やクラブ活動中で、一度にたくさん花粉を吸ってしまい一気に悪化することがあり、どう配慮するか問題となっています。

その為にはきちんと薬を飲むことが大切で、子どもは発達の途中なので、最近は、脳内に入らず、脳の発達に影響がなく、眠くならない薬が開発されてきました。おかげで、その薬で大人も車が運転できると大喜びです。当院では「杉花粉皮膚炎」と同時に治療するためにも花粉症の治療も行っております。また、抗アレルギー剤が重なることもありますので、飲んでいる薬がありましたらお知らせ下さい。