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2009年 春夏号(第22号)…高知県の日本臨床皮膚科医会の市民講座の講師をしました
撮影:岡村理栄子
2009年 春夏号(第22号)…高知県の日本臨床皮膚科医会の市民講座の講師をしました
高知県の日本臨床皮膚科医会の市民講座の講師をしました
院長 岡村理栄子

『おしゃれ障害…「きれいになりたい」から始まる障害‥子どもにも大人にも』

その時の講演の要約は下記の通りです。

「最近、世の中の風潮として外見を重要視する傾向があります。それが子どもの世界にも入りこみ、小学生や中学生でも化粧をし、髪を染め、ピアスをしている子どもが見かけられるようになりました。大人のおしゃれと違い子どもにはいわゆる「おしゃれ障害」が多く見られます。

一つは、子どもの皮膚が構造的にも、免疫学的にも未熟であり接触皮膚炎などを生じやすいからと考えます。皮膚は子どもから大人につれ徐々に成長していきます。子どもの皮膚は全体に薄く、その上、水分を保持する機構が未熟であることや皮膚の脂分が少ないために表面は乾燥気味です。そのような、未熟な皮膚に化学物質である化粧や金属を接触させると皮膚の内部、体の内部に入りやすくなり、接触皮膚炎の第一歩である感作が大人より起こりやすいと考えられています。今は、はっきりしたかぶれが生じなくても、将来かぶれる物質が多くなってしまう可能性もあるのです。皮膚が未熟で、完成されていない子どもの問はなるべく化学物質を長く皮膚に作用させておかないようにしたいと考えます。

二つ目は、実際の症例を検討すると社会的にも未熟であり、科学的な知識もないために子ども連は使い方を間違えてしまい障害が生じていることです。また、精神的にも未熟であるためにまわりの人物に左右されてしまう、未熟な心の問題もあります。このような状況では皮膚科医も学校に出向いて行き、現実の子どもの世界、学校で何が起こっているかなどの、実際の生活を把握し指導すべきと考えています」

講演後には多くの市民の方に質問を受け、自分の通常の外来時の説明の不足に気付かされ、とてもよい勉強になりました。親御さんだけでなく、子どもさんとも病気、治療法についてよく話し理解して頂くように努めたいと考えます。