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2009年 冬号(第21号)…冬は皮膚の乾燥にご用心下さい
撮影:岡村理栄子
2009年 冬号(第21号)…冬は皮膚の乾燥にご用心下さい
冬は皮膚の乾燥にご用心下さい
院長 岡村理栄子

寒い冬が続きますが、皆様いかがお過ごしですか?さて、当院岡村皮フ科は本年の2月から処方箋が院外になります。お忙しいところ申し訳ありませんが、幅広く多くの種類の薬の処方ができるようにと考え、また岡村も年齢を重ね薬剤の管理、在庫管理にがんばれなくなってしまった為です。誠に申し訳ないのですが、近くに駐車場の大きいドラッグストアも親切な薬局もありますのでお許し下さい。また、ご不審、お困りの点があれば受付や岡村にお知らせ下さい。極力善処いたしますので、よろしくお願いいたします。

さて、最近患者さんで多いのは乾燥性の湿疹の方です。原因は2つあります。1つは、東京の乾燥化がますます進み、冬は東京が、日本で一番湿度が下がってしまったからです。それは東京では、多くの川が暗渠化(あんきょか)し川からの水の蒸発が減ったことや暖房がエアコンデショナーが多く使われるようになったことなどの為に(ストーブの上のやかんが懐かしいですね)、室内の湿度が低くなった為と考えられます。

2つ目は、清潔志向が強まり、皮膚の表面で皮膚からの水の蒸発を防いでいる「皮脂膜」を必要以上に洗い流しているからです。お湯を溜め、薪で焚いていた時代(これも懐かしいですね。風の強い日にはお風呂はたてませんでした)とは違って簡単に入浴できますし、液状の石鹸などはつい使いすぎてしまいます。こうして、皮膚の水分が空気中に失われると、表皮の細胞の間が開いてしまい、アレルギー物質が入り易くなり炎症が起きます。それが続くと真皮(皮膚の下層)から神経が伸びてきてしまい、少しの刺激で痒くなります。皮膚の健康を保つには皮膚が乾燥しないように努めることが大切です。

ポイントは(1)頭から洗う。次に顔を洗い、最後に体を洗う。(2)シャンプーや石鹸は一度手に取り濃度を一定にしてむらを作らずに使う。(3)保湿剤はシンプルなものを、入浴後なるべく早めに。

大しわは光老化、小じわは乾燥からできます。でも、しわは年齢を重ねると出るもので納得できますが、痒みは我慢できないものです。痒みが出る前も早めに対処しましょう。

水虫というのは俗称で本当は足白癬と言う、足にカビがつく病気です。ご存じのようにほとんどの人は夏、特に梅雨時に悪くなります。じくじくしたり、水ぶくれができることが多いのですが、なかには、足の裏の角質が厚くなるタイプもあります。このかたちの人は自分のことを「痒くないし、水ぶくれもない」などと思い、まさか自分が水虫と思わず散々人にうつすことがあります。特に健康サンダルを履いている人はガチガチになりますので止めてください。冬は乾燥し、ますます悪くなります。冬こそしっかり、薬を塗りましょう!

ほとんどの水虫は塗る薬で治ります。とはいえ3ヵ月、特に治ったと思ってから1ヵ月は塗らなくてはいけません。充分な期間塗ることが治療のポイントです。しかし、この足の裏が硬くなるタイプでは、初めのころに飲む薬を併用すると効果的です(1ヵ月ほど)。

水虫をほうっておくと爪にかびが入り「爪水虫」になってしまいます。爪がぼろぼろになったり、黄色くなったり厚くなったりします。こうなると、塗る薬では難しく、飲む薬が主になります。テレビのコマーシャルで有名になりましたが、半年飲めばほとんどの人は綺麗にもとの爪になります。半年は長いようですが、長年悩んできた人には朗報です。

あきらめないで! 爪水虫! 夏にサンダルが履けるように!
assignment_late当院にいらしたら…

まずは、検査をします。足の皮膚または爪をはさみで一部取り(かなり浅くほんの少し取りますので、そのあとの処置は特にいりません)、その中にかび(真菌)がいるかその場で顕微鏡で見ます。足が痒いから、ジクジクしているからと言っても水虫ではないことがあるのです。

そして、足水虫なら塗る薬で、爪水虫なら薬を飲めるかどうかを検討します。内服には2種類あります。(1)パルス療法といい、1ヵ月に1週間だけ飲み、それを3回線り返す方法(短期なので、妊娠希望の方や忙しい方向け)。(2)毎日内服する-6カ月内服します。飲み合わせが悪い薬が比較的少ない薬です。各々の薬に他の薬との飲み合わせもありますし、稀ではありますが、肝機能障害や貧血などの副作用も報告されています。そこで、血液検査をして異常の無い方だけが、飲むことになります。最近では高齢の方でも飲み薬を希望される方が多く効果も上がっています。

どうしても、薬が飲めない方は、薬を爪が柔らかくなった入浴後に塗る、爪を柔らかくする薬と一緒に塗る、小型ドリルで削って(当院で)薬が効きやすくするなどの方法をとります。塗るだけでは、飲む薬の何倍も時間が掛かりますが、何もしないで毎年せっかく治った足にまで広げて、痒い思いをする事を考えたらあきらめるわけにはいきません。