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2010年 夏号(第24号)…暑い夏です 赤ちゃんは大変 赤ちゃんの肌は大人よりデリケートです
撮影:岡村理栄子
2010年 夏号(第24号)…暑い夏です 赤ちゃんは大変 赤ちゃんの肌は大人よりデリケートです
暑い夏です 赤ちゃんは大変 赤ちゃんの肌は大人よりデリケートです
院長 岡村理栄子

私どものクリニックは皮膚科専門です。皮膚を専門に診ていますが、「体にとって皮膚は本当に大切なものだ」といろいろな患者さんを診て痛感しています。

皮膚は体の表面を覆い三層の構造で体を包み保護し、外からのばい菌やウイルス、化学物質が体内に入ることを防いでいます。また、自らの皮脂腺から皮脂を分泌することにより、その油膜で体中を覆うことで皮膚の乾燥を防ぎます。また、紫外線を反射したり、吸収して体内の臓器を守ります。それだけではなく汗を出し体温を調整したり、免疫をつかさどる抗体を作る、痛みを感じることなどの大切な仕事をしています。

その大切な皮膚は、生まれた時にすでに完成されているわけではありません。そのために、赤ちゃんの肌は大人よりデリケートです。そして、夏はトラブルが生じやすいのです。

①汗をかきやすい…汗をつくる汗腺の数は生まれつきの数なので、大人と同じ数のために小さい体でもいっぱいあるので、気温、湿度が高い夏は盛んに汗をかきます。特にオムツの縁のビニールのところ(がっちり防水ですので)や首筋、わきの下にできやすく、また大人と違い腕にもできてしまいます。一日に一回はお風呂に入り石鹸でよく洗い流してください。腕やわきのくびれ、お尻など丁寧に固形石鹸を泡立てて洗いましょう。そのほかに朝一回ほどシャワーで体を冷やしてあげるのもよいと思います。また、服装では、よく股のところがつながっているものがありますが、これは熱がこもるので良くなく、逆にノースリーブも汗を吸わないので望ましくありません。また、化繊の物は汗を吸いづらいので綿のものを着せてください。

室内の温度は26度から28度が望ましいとされます。どうしても東京ではエアコンは使わないわけにはいきません。よく掃除し、カビやホコリ、ダニを防いでください。

赤いぶつぶつが多発し治りが悪く、大きく黄色くなったら受診してください。

②虫刺されに弱い…暑い日中を避け夕方に散歩する。とてもよいことと思います。赤ちゃんの世話にかかりきりのお母さんもほっとできるでしょう。素敵なカフェでもあれば言うこと無いのでしょうが、そんなもののない小金井周辺ですが、緑が多く散歩する場所には不自由しませんし、近所の方の丹精された庭など見られるのも楽しみです。またその親子のくつろいだ姿をみる我々も癒されます。しかし、虫刺されに気をつけてください。赤ちゃんは免疫が不十分なので過剰に反応して大きく腫れてしまったり、液が出たりします。ばい菌が付くと「とびひ」になります。よく洗い冷やしてあげてください。大きく腫れたら虫の出すヒスタミンだけでなく、虫体によるアレルギーが考えられるので受診してください。

お出かけの時は長袖、長ズボンで、肌が露出する部分を少なくし、親子とも防虫剤をつけ少しでも虫が来ないようにしましょう。

③紫外線対策…紫外線は、ここ数十年で劇的に増加し、数年前から母子手帳から「日光浴」の項目が無くなっています。紫外線を浴びすぎると、日焼けだけでなく将来皮膚がんになる可能性が高くなります。親子ともども、日焼け止めを上手に使い、日傘、帽子なども利用して外気浴、散歩をしてください。日焼け止めには、紫外線を反射するもの、吸収して防ぐものがありますが、子ども用としては反射剤のみのものが勧められています。今年は暑いので熱射病も心配です。日焼け止めを塗っているからと決して油断しないでください。

赤ちゃんは口をきいてくれないし、いろんなトラブルは、お母さんにも赤ちやんにも初めてのことばかり。心配だらけと思います。当たり前です!心配なら先輩に聞いてみてください。自分のお母さん、お友達、皆、子育てして強くなっていますから。インターネットでは良い話も(首筋用のガーゼが売っている!)、無責任な詰もあります。見た内容を身近な人に相談してみたらどうでしょうか?

また、皮膚科では病気を診ますが、その予防法も話しますので遠慮なくお聞きください。「知らなかった」ことは恥かしいことではなく「知ろうとしないこと」を避けたいと思います。また、赤ちゃんはすぐ大きくなり、すぐお母さんの味方になってくれます。それを良く知っているのは回りの人間です。その為に周りの人は余裕がありますので、よく相談してくださいね。