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2007年 秋号(第17号)…「ダーモスコピーでほくろの診断を」
(撮影:岡村理栄子)
2007年 秋号(第17号)…「ダーモスコピーでほくろの診断を」
「ダーモスコピーでほくろの診断を」
院長 岡村理栄子

長い長い、暑い暑い夏がやっと終ろうとしています。紫外線が強くなっていることがこんなに実感されたのは今までなかったのではないでしょうか?皆様はいかがでしたか?私は南の島に行き、日焼け止めの子ども用が、どういうふうに使われているかなどを調査してきました。白人の子ども達は多くが長袖、帽子を被っての海水浴でした。日本でも保育園などで襟首を覆う帽子が使われ始め、対策が進んできたようです。

さて、11月12日(いいひふ)は「皮ふの日」です。日本臨床皮膚科医会やその支部である各県で様々な行事が行われます。一般向けの講演会や無料検診などです。東京都の皮膚科医会でも「足裏ほくろ」の無料検診を行います。岡村も参加しますが、そこで使われる検診の道具として使われるのがダーモスコピーです。特殊なゼリーをつけて乱反射を除き皮膚の奥までみたり、ゼリーなしで超拡大鏡としたりして診断に用います。

紫外線量の増加や屋外でのレジャーや運動が増え、皮膚がんの増加が懸念されています。ただ、皮膚のがんは自分で見つけられることや、皮膚がんではない良性の皮膚腫瘍も多くあり他の臓器とは違います。まずは自分の皮膚をつくづく見てみて下さい。皮膚のがんができても痒い、痛いなどの症状はありませんので、背中などはおうちの人によく見てもらって下さい。そして気になるものがあったら受診して下さい。ダーモスコピーは簡単で痛くない検査です。

また、皮膚は表皮と真皮に分かれています。皮膚がんでも血管のある真皮まで深く入り込んでいなければもちろん、真皮内に達していてもめったに他の臓器に転移しないのです。しかし、ほくろのがんだけは特別で転移することがあり、気を付けたほうがよく、憤重にダーモスコピーで診察します。ほくろはもともと子どもの時に出来たものは、徐々に大きくなり盛り上がっていくものが多いのですが、急に生じたり、大きくなったり、しみのように周りに広がったりすると用心のために取ることもあります。有名なメラノーマとはほくろのようにみえるがんのことです。

特に、足の裏のほくろは、気付きにくく、どんどん大きくなってしまい気付いた時にメラノーマだったということが、ごくまれではありますがあります。早く見つけ早く処置すれば大事には至りません。是非、怖がらずに自分の体の表面(皮膚)もよく見て下さい。また、市の検診等で内科の先生のご紹介で来院の方もいらっしゃいます。そういう機会もどうぞ使って下さい。そして、少しでも心配なら、皮膚科専門医でダーモスコピーでほくろの診断を受けて下さい。